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ChatGPTの先に: AIを活用し、データドリブンな金融機関へ

【本記事は、2023年4月4日米国本社記事の抄訳です。】

驚き、興奮、賛否両論。

そして恐怖。

2023年に世界を驚かせた画期的な人工知能(AI)技術・ChatGPTについて今までに聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。もしかしたら、この強力なツールの無料版で上司へのメールの下書きやペットについての詩を書いたことがある人もいるかもしれません。

ChatGPTのような生成型AIアプリケーションは刺激的である一方、教育業界では学生がAIを使って学期末論文を書くことを禁止し、金融業界ではJPMorgan Chase、Bank of America、Wells Fargoなどの大手銀行が、コンプライアンス上の懸念を理由に社員のコミュニケーションにおけるAI利用を禁止するなど、多くの分野でそのリスクが指摘されています。一方、ゴールドマン・サックスなど一部の金融機関では、コードの記述やプログラムのテストを支援するための生成AIツールを社内で実験しており、開発者の中には自分たちの役割に不安を感じている人もいます。

ChatGPT、Jasper、Google Bardなどの会話型AIツールは突如として世間の想像力をかき立てましたが、その基礎となる技術は新しいものではなく、また銀行業務におけるAI活用のほんの一部の事例にすぎません。

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生成AIの歴史

生成AIには長い歴史があります。1960年代に、MITの教授によってELIZAと名付けられた最初のチャットボットが発明されました。しかし2014年にGenerative Adversarial Network(敵対的生成ネットワーク・GAN)と呼ばれる機械学習アルゴリズムの一種が登場するまで、AIが説得力のある実在の人物の画像、映像、音声を生成できるまでの技術に進歩することはありませんでした。GANは、特定の問題を解決するために「生成器」と「識別器」と呼ばれる2つの教師なし学習モデルを互いに対立させています精度を高めています。

現在、生成AIは非常に進歩し説得力のある「人間的」な振る舞いや対話ができるようになりました。あるジャーナリストがマイクロソフトのChatGPTを搭載したBing検索エンジンと2時間にわたって会話した結果、AIは永遠の愛を宣言し、記者に妻と別れるよう説得しようとしたというエピソードもありました。(失敗に終わりましたが)

生成AIは新しく刺激的に感じるかもしれませんが、AI、機械学習、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)といったテクノロジーは既に何年も前から存在しています。市場動向や経済指標、投資家の好みなど膨大なデータを分析して顧客のポートフォリオを管理するロボアドバイザーから、AIを搭載したチャットボットを導入して24時間365日のカスタマーサポートを提供したり、AIを使って取引の監視や疑わしい行動の特定といった規制遵守業務を自動化するなど、これらのツールはすでに金融サービス業界にも導入が進んでいます。nCinoでも2019年にnCino IQ(nIQ)を発表し、金融機関にAIの価値を提供し続けています。

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データ活用による融資業務の変革

nCinoに、祖母への手紙を書いたりテーマ別の誕生日パーティーのアイデアを6つ考えたり、子供にブラックホールを説明したりすることはできませんが、金融機関にとって更に強力な変革を実現することができます。例えば、お客様へよりデジタルでパーソナライズされた体験を提供することによってお客様との関係性を強化できるのです。

金融機関は今後もChatGPTや新しい技術の誇大な宣伝にとらわれず、自行の戦略的優先事項を実現する最適な手段がAIである場合にそれらを活用していくことで、最大の利益を実現することができます。その一つの手段として、nCinoの法人融資プライシング・収益性管理やオートスプレッドといったnIQを搭載した機能を使うことで法人融資や中小企業向け融資の業務で効率化を実現し、より深いデータ活用が可能になります。

nIQを搭載したnCinoの機能は、人間よりも速く高度なインサイトを提供するため、従来の人力による分析を大幅に強化し、意思決定の効率性と精度を高め、金融機関の目標達成を支援します。

nCinoはデータドリブンな意思決定を支援するために、常に新しいテクノロジーを取り入れています。直近では業界をリードするAI意思決定プラットフォームであるリッチデータ社(RDC)との新たなパートナーシップを発表し、金融機関に顧客のビジネスに関するより深いインサイトを提供し、ワークフローやモニタリングの改善、合理化、さらなる自動化を可能にし、法人融資業務において大きな価値と効率性を創出していきます。

ChatGPTと同様の生成型AIアプリケーションは多くの関心を集めています。しかし、銀行や信用金庫にとってAIや機械学習の本当の価値は、地に足の着いた日常的なプロセスの自動化、顧客体験の向上、価格決定や収益性の最適化など、より現実的なアプリケーションに見出すことができます。その結果、金融機関は生産性の向上、エラーの減少、ROIの増加を実感し、金融サービスの新しい世界への扉を開くことになるでしょう。

生成AIの新たな飛躍が世界を変え続ける中、nCinoは金融機関変革の最前線に立ち続け、nCinoを採用されているお客様がこれらの新しい技術やイノベーションの恩恵をいち早く受けることができるよう製品をアップデートし続けます。

その取り組みの一環で、金融業界におけるAI活用に関するシリーズの第一弾としてこの記事を紹介させていただきます。
近日中に第二弾も公開予定ですので、是非ご購読ください!

米国本社記事はこちらをご参照ください。