ブログ

イベント

研究開発とM&Aで進めるnCinoの製品イノベーション、AI機能の実装も計画中

「銀行体験の最適化」を掲げ、nCinoが2月4日に初めて実施したオンラインイベント「nCino Summit Japan 2021」では、nCinoのビジョンや日本のお客様に提供できる価値に加え、その製品の詳細について解説するセッションを提供しました。

「テクノロジーと金融機関の未来 変化に迅速に対応した融資業務を実現するプラットフォーム」と題したそのセッションには、最高製品責任者のTrisha Price(nCino, Inc. Chief Product Officer)と鈴木伸太郎(nCino株式会社 ソリューション営業部 部長)の2人が登壇し、nCino製品の詳細を語りました。

■5つの原則で進める製品開発

新型コロナウイルスの影響はあらゆる人々に及んでいます。銀行に対する代表的な顧客の不満としては、「銀行に行くのが面倒」「早急に資金が必要だが、とにかく待たされる」「希望していない提案が多い」「同じ情報を何回も提出しなければならない」などがよく聞くところです。これらの不満は期待の裏返しに他なりません。顧客は金融機関とのコミュニケーションをもっと改善したいと考えています。銀行は変わらなくてはなりませんが、ほとんどがこのような顧客の期待に応える仕組みが整っていないがために苦しんでいます。鈴木は「日本の銀行には業務の再定義が求められている」と訴えました。

実はこれらの顧客の不満のほとんどは、最新テクノロジーの活用で解決します。しかし、現実の行内を見渡すと、時代遅れのレガシーシステムばかりで、顧客ニーズを正しく理解しようにもままならない状況にあるのではないでしょうか。この状況を解決するのがnCinoです。nCinoの製品ルーツは、銀行の社内システムにあります。銀行業務の再定義には、金融サービス業界に関する専門知識と業務プロセスへの理解が不可欠です。このルーツはnCinoにとって重要な差別化要素の1つとなっています。

nCino製品は「簡単に使える」「単一プラットフォーム」「様々な要件に迅速かつ容易に対応できる」「セキュリティ・コンプライアンス」「モバイル対応」の5つの原則に従って提供されます(図1)。

図1:nCinoにおける製品開発の5原則
出典:nCino

この中でもnCinoが「単一プラットフォーム」を採用していることは、これから業務プロセスをデジタル化を進める銀行にとって大きな意味を持ちます。nCinoはプラットフォームの重要性をよく認識していた開発者によって、Salesforce Force.comの上で稼働する法人融資アプリケーションとして誕生しました。Trishaは「フロントオフィスからミドルオフィス、バックオフィスを接続し、顧客エンゲージメント向上を実現するシステムを構築するため、nCino Banking Operation Systemを開発した」と述べています。

nCinoはソフトウェアをサービスとして提供するSaaSであるため、スクラッチ開発では得られないメリットも得られます。導入期間は平均で12カ月〜18カ月と通常の融資支援システムと比較して短く、専用のハードウェア調達やインフラ設計の必要なく、迅速に導入できます。機能改修のために都度予算を獲得する必要もありません。顧客志向のスタンスを徹底し、自行の競争力を強化することに集中することができるのです。

■研究開発とM&Aの両輪で進める製品イノベーション

TrishaはnCinoが研究開発に積極的に投資をしている会社であることを強調します。2020年度の研究開発費は3000万ドル。これは売上の25%に相当する規模でした。研究開発拠点も米ウィルミントン(ノースカロライナ州)本社だけでなく、米ソルトレイクシティ、豪メルボルン、英ロンドンに設置しています。機能の革新を続けるだけでなく、世界中の金融機関が製品を利用できるよう製品のローカライズにも力を入れています。2021年2月現在、120以上の言語と140以上の通貨をサポートしており、ビジネス展開をしている地域は11カ国に及びます。

そのうちの1つが東京オフィスです。2019年10月に日本法人を設立後、真っ先に取り組んだのが日本の金融機関が製品をできるようにするローカライズでした。nCinoは各国の金融サービス市場環境の違いを尊重し、その国特有のニーズを十分にサポートするように努めており、今後もその取り組みを継続していきます。さらに、nCinoを導入した金融機関から製品改善のフィードバックを得るためのプログラムも用意しています。「製品提供を通して、私たちは日本の金融機関のビジネスのお役に立てることを楽しみにしており、皆様と長期的なパートナーシップを築いていきたいと考えている」とTrishaは述べています。

研究開発費の使途は、ローカライズにとどまるものではありません。2012年以降、nCinoは年2回のメジャーバージョンアップを実施しており、導入した金融機関が常に最新の機能を使えるようにしてきました。少ない投資で今後のビジネス変化に合わせ、長く使い続けることができるのはnCinoがSaaSだからと言えるでしょう。現在のnCino製品がカバーする領域は「融資管理」「口座開設」など多岐にわたりますが、Salesforceと同じプラットフォームで開発されているため、Salesforceと併せて使えば、そのメリットを取り入れることもできます(図2)。

図2:Salesforceのプラットフォーム上で開発されたnCino 出典:nCino

もう一つ、M&Aも製品開発の柱の一つです。2019年7月に買収したVisible Equityはポートフォリオ分析のSaaSベンダーでした。この買収でnCinoを導入している金融機関は、ローンや預金のポートフォリオを分析し、データに基づく意思決定を行うことができるようになりました。さらに2019年11月に買収した豪FinSuiteは、OCRとAIを活用して財務諸表データの加工や展開を行うオートスプレッドテクノロジーの製品を提供するベンダーでした。この2つの買収成果をnCinoに取り入れるべく、AIを活用した法人融資ソリューション「nIQ(ニック)」の提供準備を日本でも進めています。具体的には以下の4つの機能を提供する計画です(図3)。

  • オートスプレッド:紙の財務情報をスキャンして自動的に登録する機能
  • 融資金額と収益性の最適化:顧客ごとに適正な融資金額を提案する機能
  • ポートフォリオ分析:複数の融資案件のリスクを統合的に評価する機能
  • リスク評価:信用リスクを分析し、定量的および定性的なインサイトを提供する機能
図3:準備中のAIを活用した法人融資ソリューション
出典:nCino

融資先の財務情報は行員が自分で入力していることが多い業務であり、nIQで事務効率の向上や収益性の改善が期待できます。また、顧客にとっても融資申込みからのリードタイムの短縮や最適な提案を受けられるというメリットがあり、顧客体験の質が大きく向上することになるでしょう。

■外部連携で拡張できる銀行業務のプロセス

nCinoは融資業務だけを改善するわけではありません。銀行業務を進めるには様々なシステムのデータが必要です。先に説明した通り、nCinoはSalesforceのプラットフォームを採用しているので、金融機関の様々な連携ニーズに対応できます。融資業務で必要な外部サービスとの連携は、nCino IntegrationとしてnCinoに接続プログラムを準備し、管理画面の設定だけで「信用情報」「電子署名」「eKYC」などの外部サービスとの連携が実現できるようにしています。さらに勘定系システムとの夜間バッチ連携のためにはETLサービスも用意しています。

nCinoであれば、コロナ禍で店舗に行きたくても行けないお客様が、デスクトップからでもモバイルデバイスからでも手続きを進めることができます。これは行員にとっても、いつでもどこからでも仕事ができるということでもあります。nCinoの単一クラウドベースのソリューションは必要に応じてデータ連携でプロセスを拡張し、業務をエンドツーエンドで進めるサポートを行います。大きなコストの負担なく、顧客を含めた業務の再定義を実現できるのがnCinoの力です。